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真冬びより

真冬びより

受験受難事件。

( 日記の再録です)


「バカは風邪ひかないと言いますが、やっぱり自分はバカだと思います。」

以前の日記に、こう書きました。





しかし。






予想以上にバカでした。



風邪じゃありませんでした。






「インフルエンザ」でした。






受験前日の午後に発覚。


なんか風邪にしてはすごいツライ・・・。

ちょっと布団に入っていよう・・・。(もそもそ)

毛布2枚使って厚めの布団かけてんのにすごい寒い・・・。

なんか関節が痛い気がする・・・。

咳が出る・・・。

すごい首から上だけ暑い・・・。






その他もろもろの症状が出まくる出まくる。

「ああ~これはもうアレしかないだろうな・・・」
と、ほぼ確信するに至りました。



それまでは「体温計って弟の部屋にあるんだよね・・・めんどいなあ」とか思って測らなかったんですが、流石にこれは・・・と思ったので探し出して測ってみることに。








結果。


「38・7度」









なんてこったい。(微妙に)高熱じゃないか。

でもこの体温計壊れかけてるしな。もう一辺測ってみよう・・・。もそもそ・・・。








数分後。


ピピピピピピピピピピ・・・。(電子音)




「39.0度」









・・・・・・(絶句)。

ああもうダメだ。

決定的だ。絶対アレだ。




明日のこの時間帯にはもう試験だというのに。







夕季。18歳。
大学受験前日。39度の発熱に見舞われる。








原因は。


「数日前、ノースリーブで数時間うろついたあげくカラオケ行って、雨に降られて濡れ鼠になった」為。





バカにも程があります。夕季さん。






ってな訳で、至急父上を呼び(ママンが)病院に。

途中バカだバカだと言われまくりました。






結果。




やっぱりインフルエンザでした。









パパンが「明日受験なんでなんとかして下さい」的な事を先生に言っていました。


先生、苦笑いしてました。そして多分呆れてました。





「タミ○ル(薬の名前)とか使ったらちょっとはマシになるんじゃないでしょうか」
なんて事も父上は言っていました。



なんかインフルエンザの元をやっつける薬だそうです。
なんで父がこんな事を知ってるのかというと、パパンは製薬卸売会社の営業(と配達)やってるからです。





薬にはやたらと詳しい父上。



とりあえずそれ出してくれました。

この辺でそろそろヘロヘロになってきた夕季。
ちょっとまともに座ってられません。



まあインフルエンザだしその位許してくれるだろ空いてるし・・・ってゆうか許してくれぇ・・・と思いつつ半分ソファに寝転ぶ形になる夕季。





名前を呼ばれるまでその状態。

やっとお金を払って、隣の薬局へ。

10分位待って薬買いました。






そんなこんなでおうちに帰れましたとさ。


普段なら寝てればいいんですが。
明日が受験の夕季さん。しかも専願。

なんとしてでも明日の昼までに熱を下げねばなりません。


ー私の戦い(超大げさ)はこんな感じで始まりました。ー










そんなこんなで帰路につく夕季。




途中、コンビニでパパ上がポカリとアイスを買ってくれました。

帰るなりバッタンキューな私。
居間には私の布団が敷いてありました。
どうもママ上が2階の私の部屋から持ってきてくれたもよう。



もそもそと着替えてダイビングー。
ヘロヘロとしか言いようのない私。

それはもう釣り上げられて数分経った魚のごとく。
猫にいたぶられ、やっとの事で逃げてきたトカゲのごとく。



何か言われても「あー」とか「うー」とかしか答えられませんでした。





咳と熱と頭痛と関節痛と吐気が入れ替わり立ち代り私を襲います。2つか3つが同時にくるのです。しかも毎回パートナーを変えて攻めてくるので油断なりません。

まあ、そんなこんなで飯食って(うどん)グダグダしておりました。(ぶっちゃけあんまり記憶ないのですよ;;)


風呂入るな。拭くのもやめとけ。
と、かなりしつこく言われたのですが、それだけは嫌な夕季。ヘロヘロな体を無理やり起こして、タオル濡らしてきて拭きまくりました。

薬をえいえいっと飲み、7時頃からゴロゴロ。
苦しさでなかなか寝付けなかったのですが、なんとか9時半頃に就寝致しました。






ところがどっこい(古!)
これで後は受けるだけ、と思いきや。

まだまだ道は険しかったのでありまするー。










すったもんだの末(古)ようやく眠りにつくことができた夕季。

しかし、敵は恐怖のインフルエンザ。
まだまだ難関は待っていたのでありまするー・・・。



ようやく眠りについたのは9時半。
次に起きたのは10時半。





たったの1時間しか眠っておりません。




のどが渇いたのではありません。

咳で起きたのではありません。

鼻がつまったのでもありません。









私の身に襲いかかった悪魔の化身。


それは。


それは。








吐気。


つわりではありません。
飲みすぎでもありません。










インフルエンザのウイルスが暴れているだけです。




普段は健康そのものな夕季。
2年ぶりに感じた吐気に苦しむ苦しむ。

なんとか眠ろうとしました。
頑張りました。自分をごまかすのに必死でした。
ごろごろしました。









・・・無理でした。


しょうがないのでトイレに行ってみました。
どうしようもありません。


吐こうかと思い、ちょっと頑張ってみます。







・・・やっぱり、無理でした。













なぜなら。なぜなら。


食べてないから、吐くもんがない。









腹には何もないのに、それを出すように命じてくるウイルス。


それはまさに、返すあてもない破産寸前の人間を執拗に追ってくるサラ金のごとく。





無理難題をウイルスからふっかけられ、困惑する夕季18歳の早春。受験前日。


しょうがないので水をのんでみる夕季。
水でも吐けばウイルスとて許してくれるだろう・・・。






ごきゅごきゅ(効果音)。



げっふう。










トイレに出戻る夕季。

準備は万端。
覚悟しろよウイルスめ。









「ぐえええええええ・・・(以下自主規制)」







吐けました(変な日本語)。
薬が全部出ました。さようなら薬たち。

口を洗いつつ、昼間のことを思い出す。
複雑な思いが交錯交錯。








昼間のできごと***************************

「(父)明日受験なんでなんとかして下さい」
「(医者)ん~そうですねぇ。この薬、本当は一回1錠なんですが、2錠飲んで下さい」
「(父)大丈夫ですか?」


「(医者)大丈夫でしょう、 この体格なら」


**********************************





「この体格なら」


「この体格なら」







間接的に。

医者にお前は人より太ってる!と言われました。
だから人よりたくさん飲んでも大丈夫だと言われました。

口を拭きつつ思いました。







「ダメだったじゃねぇかよ・・・。」
「大丈夫じゃなかったじゃねぇかよぅ・・・。」







なんとも微妙な思いです。

嬉しいのか悲しいのか。

無理やり言い表すならこんな感じですか。





「むなしみの中の喜び」

もしくは

「喜びの中のむなしみ」





そんな思いの交錯する中、夕季はようやく眠りにつくことができたのですー・・・。











平成16年度○○大学入学試験会場―。


緊張感に満ち溢れた大学の玄関。
試験の始まりを、今か今かと待ち受ける受験生。


そこに突如現れた。

ゲホンゲホンと咳き込む女。





マフラー装備。
マスク装着。
ついでに親付き。





千原 夕季でございます。







ゲホンゴホン。

ガフッゲフゲフッ!

ウ・・・・・・!






それでもおなごか、そう言いたくなっちゃいそうな、下品な咳とうなり声。



千原 夕季でございます。




母上は、パートの面接があるにもかかわらず、ついてきてくれました。
ありがとう母さん。ゴメンよ。母さん。








でっかいマスクと。

でっかい咳で。









「病原菌持ちですよ」

と、自らアピールしている私。









そんな私を見た、善良な受験生の皆様。

私が少しでも動けば、周りの方も動きます。



せまい空間のはずなのに。






気づけばそこには広い広い空間が。


私のとこだけ、人口密度が低い低い。




周りの方が避けてくれるのです。

逃げってってくれるのです。





プチ村八分です。

別に村掟を破ったわけでもないのに村八分。




ちょっと切ない、昼下がり。







静かです。とっても静かです。


皆様、「小論文の書き方」なんて本をお読みになってる。
物音なんて、ページをめくる音くらい。


静かで静かで。
緊張感に満ちた空間。





そんな空間で。






1人だけ、でっかい音をたてるあたくし。



ゲッフン ゲフン。
ゴホンガホン。


ふらふらふらふら。
へろへろへろへろ。





咳は急には止まらない。


周りは厳戒態勢です。
引き続き、警戒警報発令中。









長い長い待ち時間。

どうでもいいから、さっさと始めてくれないか。
そう思い始めた頃のこと。


ようやく、試験会場への入室が始まりました。






長ったらしい諸注意を聞き。

空き時間をひたすらやり過ごし。







ようやく配られた問題用紙。

「いい紙使ってんな~・・・さらさらじゃない」
かなり関係なさ気なことを思いつつ。






いざいざ。

まずは、小論文から始めましょう。





「幼児の時にした遊びが、今の自分にどうつながっているのか、具体例をまじえてのべよ」

なんかそういう問題でした。






・・・む?





これは・・・小論ではなく作文か?



足りない時間。
足りない頭。
ありすぎな体温。




「もう今年は無理にちがいない」

そう思い、ほとんどやけくそ的に答案を書きなぐり書きなぐり。






カリカリカリカリ・・・。
鉛筆を走らせる音。


カッカッカッ
試験官の足音。


緊張感と凍てつく寒さ。
静まり返った教室に。






ゲホッゲホッゲッフゲフゲフ・・・!

響きわたるは我が咳の音。








ああ・・・前にも同じようなことがありました。

3年前のあの日も、こんな光景が広がっていましたな。


走馬灯のごとく、よみがえる過去の記憶。
それは、2001年3月11日のことでした。





あの時はしゃっくりでした。

忘れもしない、理化の試験。


ひっく・・・ひっく・・・。



でっかい音が響いてた。






3年たったら咳ですか。



成長したのかしないのか。




でもね。

あの時は音だけだった。







今は。

音+ウイルス。



ゲッフゲッフ言うたびに。
マスクのふちからウイルスがばらまけばらまけ。




ウイルス蔓延。
騒音発生。










すんませんすんません。ごめんなさいごめんなさい。

頭の片隅で思いつつ、答案を書きなぐり続けるこのあたし。






小論が終わり、次は英語。

ファーストフードについて書いてあったような気がします。



和訳と英作文。
時間も無いし、めんどくさいので作文は無視。


やってられるか!







「やけくそ」


その言葉が何よりも似合う、私の受験っぷり。
どうだどうだ。意味もないけど言いたくなっちゃう。


とりあえず、試験は終了。
何書いたんだか、いまいち覚えておりませんけどとりあえず。


それでも、ようやく終わった大学受験。









帰りはタクシー。

乗り込むと同時に、爆弾のごとく話し始める運ちゃん。
どうやら同じ高校出身とのこと。


ああ、通りでなんかテンション高いと思ったよ・・・。





息子の学校のことを批判しはじめたおじさん。

「あそこはいかん!勉強勉強とうるさい!そのわりには実績がない!」

「わしらの頃はよかった・・・しょっちゅう学生運動で」






そうかあ。学生運動がさかんだったのかぁ・・・。

くたびれた頭の片隅で反芻されるおっちゃんの声。









「それで、いつも授業つぶれとったのに」



おおう。それじゃ駄目じゃん。駄目駄目じゃん。

声に出せないつっこみを胸に、無事に帰路に着きました。
















後日。




奇跡的に「補欠合格」を決めてからのこと。

入学してから。


「受験教室231番だったん?一緒ね」
「ああ、アンタも一緒かぁ」







は~ん・・・じゃあ、あたしの咳も聞こえてたのかな?
尋ねてみました。








「ああ!あれアンタか!うるさかったわ!」



やっぱり、分かるんだなぁ。

そして覚えていたんだなぁ。



そして続いた彼女の言葉。






「もううるさくてうるさくて・・・」



「殺してやろうかと思ったわ!」









わあお。

夕季さん、あとちょっとで殺されてたんだそうですよ。


死ななくてよかった。




皆様、受験の前は体調に十分お気をつけ下さいませね。
受験前日に病院送りになった上、殺されかけた女より~。



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